日本臨床外科学会雑誌
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症例
後腹膜へ進展した長径25cmの虫垂粘液嚢胞腺腫の1例
今神 透高橋 広城宮井 博隆佐藤 幹則小林 勝正竹山 廣光
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2013 年 74 巻 3 号 p. 724-728

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抄録
症例は86歳,女性.2012年2月に嘔吐を主訴に近医受診.CTで右横隔膜下から右下腹部にかけて後腹膜に進展する巨大な嚢胞性病変を認め,巨大腎嚢胞が疑われて当院泌尿器科を紹介受診した.当院のCTでは嚢胞性病変は盲腸から連続して右腎と境界を保ちつつ,その背側を通り右横隔膜下までに至ることが判明し,一部で壁の造影効果が認められた.また虫垂は同定できなかった.採血では腫瘍マーカーの上昇を認めた.以上から虫垂もしくは後腹膜由来の粘液嚢胞腺腫または腺癌が疑われ手術目的に当科紹介となった.手術は悪性の可能性を考慮して回盲部切除,D3郭清とした.嚢胞壁には厚みがあり破ることなく盲腸,上行結腸と一塊にして摘出できた.標本の大きさは25×9×8cm,病理診断は虫垂粘液嚢胞腺腫であった.退院後は近医に通院中であるが,腫瘍マーカーは正常化し,術後5カ月が経過するが再発兆候を認めていない.
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© 2013 日本臨床外科学会
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