日本臨床外科学会雑誌
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症例
尿膜管に穿通し自然臍腸瘻をきたしたCrohn病の1例
鈴木 俊裕岡田 禎人林 英司井上 昌也
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キーワード: Crohn病, 臍腸瘻, 尿膜管膿瘍
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2013 年 74 巻 3 号 p. 819-823

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抄録

Crohn病による瘻孔形成は合併症の一つであるが,自然臍腸瘻の報告はまれである.症例は37歳男性で,下腹部痛と頻尿を主訴に近医を受診し,膀胱鏡で異常を指摘され当院紹介となった.腹部CT検査で尿膜管膿瘍と診断し臍を切開し膿瘍ドレナージを施行した.ドレーンより腸液の排出を認め,瘻孔造影では尿膜管から回腸への穿通を認めた.保存的治療では瘻孔が閉鎖せず,ドレナージ後37日目に手術を施行した.開腹すると回腸とS状結腸が尿膜管に癒着しており回腸,S状結腸,膀胱を部分切除し尿膜管とともに一塊に切除した.摘出標本では回腸に縦走潰瘍や狭窄を認め,病理組織学的に潰瘍とリンパ濾胞の形成を認めた.患者は術後11日目に軽快退院したが,11カ月後,頻回の下痢を主訴に来院した.大腸内視鏡検査を施行しCrohn病と診断した.Crohn病による自然臍腸瘻に対し,ドレナージ後に外科的治療を行った1例を経験したので報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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