2013 年 74 巻 3 号 p. 838-843
症例1は34歳,女性.左下腹部痛と嘔吐を主訴に来院,手術の既往はなかった.入院にて保存的に加療を行ったが,第3病日に腹痛増強し,腹部CT検査にて絞扼性イレウスと診断し手術を施行した.症例2は36歳,男性.左下腹部痛を主訴に来院した.20年前,十二指腸穿孔にて腹腔鏡下手術の既往がある.腹部CT検査で絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を行った.症例3は81歳,女性.下腹部痛と嘔吐を主訴に入院し保存的治療を行ったが腹痛が持続し,第3病日のCT検査にて絞扼性イレウスを疑い緊急手術となった.いずれの症例も術前診断は絞扼性イレウスであり,開腹すると,S状結腸間膜窩をヘルニア門とするS状結腸間膜窩ヘルニアであり,腸切除は施行しなかった.本疾患は比較的稀な疾患であり,文献的考察を含めて報告する.