日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
腹腔鏡手術から開腹に移行した大腸癌9例の検討
竹中 芳治佐々木 貴浩福岡 麻子星野 博之佐々木 大祐宮島 伸宜
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2013 年 74 巻 6 号 p. 1427-1431

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抄録

目的:腹腔鏡下大腸癌切除術(LAC)症例で術中開腹移行例を経験する.LAC開腹移行率の低下すなわち完遂率向上に必要な因子を検討した.
方法:当センターで施行したLAC206例中の開腹移行症例を対象に開腹既往歴の有無,術中所見,開腹移行理由,最終的術式,術中術後経過,標本病理所見について検討した.
結果:開腹移行例は,結腸癌5例と直腸癌4例の計9例(4.4%)で,結腸癌の4.0%,直腸癌の4.9%であり,無開腹既往歴149症例中4例(2.7%),有開腹既往歴57症例中5例(8.8%)であった.移行理由は,高度癒着や術中偶発症によるもの4例,他臓器浸潤疑診5例であった.
結語:術前診断不能であった癌の他臓器浸潤による合併切除の必要性が,開腹移行の最重要因子であった.LACの開腹移行率低下のためには,他臓器浸潤のさらなる精密な術前評価が重要と思われる.

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© 2013 日本臨床外科学会
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