日本臨床外科学会雑誌
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症例
誤飲おはじきで下行結腸穿孔を起こした多発性先天性大腸狭窄症の1例
住田 亙大島 一夫
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2013 年 74 巻 9 号 p. 2522-2525

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抄録

背景:先天性大腸狭窄症(本症)はまれな先天奇形である.今回,異物誤飲による大腸穿孔を契機に診断された多発性膜様狭窄症の1例を経験したので報告する.
症例:症例は2歳女児.高熱,嘔吐を認め,総合病院を受診し,絞扼性イレウスで手術適応として当院に搬送となった.手術所見は,大腸に複数箇所の狭窄部位を認めた.下行結腸の狭窄部の口側で腸管が穿孔していた.穿孔部位からおはじきが摘出され,狭窄部位で引っ掛かり穿孔したと診断した.双孔式人工肛門を作成し,穿孔部位は単純閉鎖した.小腸には明らかな狭窄部位を認めなかった.現在は人工肛門を閉鎖し経過を観察している.
考察:本症は非常にまれで,特に複数の狭窄部位を認めた報告は検索しうる限りない.異物の誤飲を経過観察する際,通常であれば通過する大きさであっても,本症を伴っていると通過せず穿孔をきたす場合もあり,経過観察の際に本症の存在も考慮するべきと考えられた.

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