2014 年 75 巻 11 号 p. 3067-3071
症例は79歳の男性で,胃癌に対して幽門側胃切除術・Roux-en-Y (R-Y)再建術を施行した(R0手術:pT4aN3M0 Stage IIIC).術後1年10カ月目に急な腹痛を主訴に来院し,イレウスの診断で緊急入院した.腹部造影CTでは,輸入脚およびY吻合部空腸の拡張と壁の造影不良を認めた.Y吻合部近傍の腹膜播種再発による絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.開腹所見時,胃癌の再発所見を認めず,Y吻合部より肛門側の空腸が逆蠕動性に重積し30cmが壊死に至っていたため,Y吻合部を含む小腸を切除し再度Y吻合を作成した.R-Y再建後のY吻合部への腸重積は極めてまれだが,本疾患を念頭に置いていれば特徴的な画像所見から術前診断が可能であったと考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.