日本臨床外科学会雑誌
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症例
イレウスを発症した多発小腸カルチノイドの1例
西村 潤也寺岡 均北山 紀州埜村 真也野田 英児西野 裕二
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3077-3082

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抄録

症例は64歳,男性.突然の腹痛,嘔吐を主訴に来院した.腹部CTにて小腸の拡張および小腸内腔に造影効果を受ける腫瘤を認め,小腸腫瘍に伴うイレウスと診断し手術を施行した.術中所見では,Bauhin弁より約1m口側の回腸に閉塞部位を認め,それより口側小腸の拡張を認めた.また,後腹膜腔に鶏卵大の腫瘤を触知し,リンパ節転移が疑われた.狭窄部を含む50cmの小腸部分切除術を施行した.摘出標本を確認したところ,最大径1.5cmの腫瘍を含む,白色調の隆起性病変を多数認めた.リンパ節転移を疑う後腹膜腔の腫瘤は周囲組織と強固に癒着しており,摘出は困難であった.病理組織学検査にて隆起性病変はすべてカルチノイドと診断された.今回われわれは,イレウスを契機に発見された,多発小腸カルチノイドの稀な1例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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