日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下低位前方切除術を施行したvon Willebrand病を併存した直腸癌の1例
大陽 宏明谷 直樹荒木 康伸清水 健野口 明則山根 哲郎
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3120-3124

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抄録

症例は46歳の男性.幼少期の鼻出血に伴う出血傾向からvon Willebrand病(vWD)と診断されている.下痢と血便を主訴に当院消化器科を受診.精査の結果,直腸粘膜下腫瘍と早期直腸癌の診断となり外科を紹介受診.血液検査にてvWDは2A型と診断し,activated partial thromboplastin time(APTT)は39.6秒と軽度延長していた.第VIII凝固因子/ von Willebrand因子濃縮製剤を投与しAPTTを指標に止血管理を行い,直腸局所切除術・直腸ESDを施行し直腸GIST・早期直腸癌と診断した.直腸癌の追加切除として腹腔鏡下低位前方切除術を同様の止血管理で施行した.術中は止血困難を認めず,出血量50mlにて手術を終えた.vWDの患者にも十分に止血管理されていれば腹腔鏡手術は安全に施行できるものと考えられた.本症例に関して文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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