日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人左心室線維腫の1例
向原 公介峠 幸志金城 玉洋
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キーワード: 左室線維腫, 成人, 左室形成
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3254-3258

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抄録

Fibromaは心臓腫瘍の中で比較的稀な良性腫瘍であり,その大部分は幼少期に発見,治療される.今回われわれは,左心室に発生した成人fibromaの1切除例を経験したので報告する.症例は35歳の女性.2008年に胸痛,胸部圧迫感を自覚し複数の施設を受診し左室腫瘍の診断で経過観察となっていた.徐々に胸痛の頻度が増加し,本人の不安感も強く2011年11月に当科を受診した.精査の結果,左室下壁を中心に4cm大の左室腫瘍を認め後乳頭筋を押し上げるような腫瘍であった.弁膜症は認めなかった.2012年1月に腫瘍切除を行った.肉眼的に完全切除が可能であり乳頭筋は温存可能で菲薄化した左室壁は左室形成術を行った.病理結果はfibromaであった.成人左室fibromaは稀な疾患で文献的考察を含めて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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