2014 年 75 巻 12 号 p. 3338-3343
症例は51歳,男性.慢性膵炎および糖尿病で近医通院中であった.全身倦怠感を主訴に近医を受診し,糖尿病の悪化と血液検査にてCEA 22.6ng/mlと高値を認めたため,当院へ紹介された.腹部造影CTで膵尾部に長径約6.3cmの多房性の嚢胞性腫瘍を認めた.さらに,腹部MRI・腹部超音波検査を施行し,同様に膵尾部に嚢胞性腫瘍の所見を認め,加えてCEA高値であったことから,悪性の膵嚢胞性腫瘍を完全に否定できず,膵尾部膵管内乳頭粘液性腫瘍由来の浸潤癌を疑い,膵体尾部切除を施行した.病理診断にて黄色肉芽腫性炎症と診断された.膵の黄色肉芽腫は稀であり,画像診断では鑑別が困難な疾患である.文献的考察を加えて報告する.