2014 年 75 巻 2 号 p. 415-419
症例は60歳台,男性.2007年4月に他院でリンパ節転移を伴う早期胃癌に対し幽門側胃切除術が施行された.同年10月に腹部大動脈周囲リンパ節再発が認められ,S-1+CDDPによる化学療法後,2008年1月に同部位のリンパ節郭清術が行われた.以後,S-1・CPT-11+CDDP・ドセタキセルによる治療が行われたが,腹部大動脈周囲リンパ節・頸部リンパ節に再発が出現し,その後,4回の腹部大動脈周囲リンパ節郭清と,腹部大動脈周囲と頸部への放射線照射が行われた.5回目の手術後は1年間の無再発期間が得られたが,その後,腹膜転移をきたした.初回手術から5年4カ月,再発が確認されてから4年10カ月生存中である.本症例は,胃癌のリンパ節転移再発に対する繰り返す手術や放射線治療などの局所治療が,生存期間延長に寄与する可能性を示している.