日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術後に癒着性イレウスを発症した腸回転異常の1例
柏舘 俊明阿部 隆之佐藤 耕一郎加藤 博孝
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2014 年 75 巻 4 号 p. 1038-1042

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抄録

今回われわれは,腸回転異常症を背景に,腹腔鏡下胆嚢摘出術後の胆嚢摘出部に小腸の癒着性イレウスを発症した1例を経験したので報告する.
症例は81歳の男性.1999年に脳梗塞を発症し長期臥床中.2005年10月に慢性胆嚢炎に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術施行した.2008年3月にイレウスの診断にて近医より紹介され受診した.CT上,肝下面に小腸のcaliber changeを認め,closed loopの形成も疑われたため,同日,緊急手術を施行した.ポートサイトには全く癒着を認めず,肝下面の胆嚢摘出部に小腸の癒着を認め,同部でcaliber changeが起きていた.癒着剥離後,小腸を全長にわたって検索すると,十二指腸前面に結腸はなく,Treitz靱帯を認めず,そのまま空腸に移行した.右側に上行結腸を認めず,ここで腸回転異常であることが判明した.肝床への小腸癒着は右上腹部に結腸がないことによって生じたと考えられた.

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