日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
癌性胸水・腹水に対してS-1+CPT-11併用療法が奏効した乳癌の4例
中川 剛士佐藤 隆宣佐藤 雄哉細矢 徳子杉原 健一
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キーワード: 再発乳癌, S-1, CPT-11
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2014 年 75 巻 4 号 p. 880-883

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抄録

進行再発乳癌の治療後半から終末期にかけて,胸膜転移/腹膜転移による癌性胸水/腹水はコントロールに難渋することが多い.癌性胸水/腹水に対してS-1+CPT-11併用療法(以下S-1+CPT-11)を施行した4症例を提示する.治療レジメはS-1:80mg/body/day(day1-14),CPT-11:80mg/body/day(day1,8),21日で1コースとした.1例は癌性胸水,3症例は癌性腹水であった.多量に貯留していた2例は,投与前にドレナージを行った.1例はGrade3の下痢,1例はGrade4の血小板減少を認めた.投与後の胸水/腹水のコントロールは良好であり,ドレナージを要する再貯留は認めなかった.いずれも化学療法後半での使用であったが,緩和医療に移行した後も著明な再貯留はなく,再穿刺ドレナージは必要なく,症状緩和に有効であった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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