日本臨床外科学会雑誌
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症例
RI・色素陰性センチネルリンパ節のみに転移を認めた乳癌の3例
松田 実鳥屋 洋一嘉和知 靖之遠藤 太嘉志瀧 和博
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2014 年 75 巻 4 号 p. 895-900

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抄録

乳癌のセンチネルリンパ節生検(SNB)には偽陰性が見られる.当科のSNBは,2010年4月からは放射性同位元素(RI)と色素の併用法で行い,2012年4月までに235例行った.その内,RI・色素陽性(hot & blue)のリンパ節(LN)には転移を認めず,両方陰性のLNに転移を認めた3例を経験した.3例はいずれもhot & blue LNに 転移はなく近傍のLNのみに転移が見られた.True false negative症例には,跳躍転移以外に癌に置換されたLN転移症例が含まれる.今回の症例も転移LNは癌に置換されており,そのような症例では真のセンチネルリンパ節(SN)は色素もRIも陰性になることがあるが,近傍のLNに色素とRIが見られることが示唆された.Macrometastasisの偽陰性は避けねばならない.現状の偽陰性率をさらに低下させることがより正しい診療に結びつくと思われた.

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