日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
肉芽腫性乳腺炎の9例
吉富 誠二辻 尚志安部 優子賀島 肇宮原 一彰黒田 雅利
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1479-1483

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抄録

肉芽腫性乳腺炎(granulomatous mastitis: GM)は腫瘤形成性の慢性炎症性疾患で,乳癌と似た臨床像を呈するため良性疾患として認識する必要がある.われわれが経験したGM9例(10病変)について検討した.平均年齢は35.6歳,出産歴ありが7例,両側例が1例あった.主訴は乳房腫瘤・乳房腫脹・乳房痛であり,腫瘤の大きさは平均6.4cm,多くの病変で皮膚発赤・圧痛があり,2例で下腿の結節性紅斑を合併していた.乳房超音波検査では膿瘍変化を伴う低エコー域として描出されることが多く,穿刺吸引細胞診・針生検では悪性所見はなかった.治療は切開排膿,Seton法によるドレナージ術,ステロイド治療,抗生剤治療が行われ治療期間は平均174日であった.Seton法を5病変に対し行い治療期間は平均46日で全病変が治癒に至り有用であると考えられた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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