日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃軸捻を伴う右横隔膜傍裂孔ヘルニアの1例
室井 大人菅原 学井原 啓佑宮地 和人中島 政信加藤 広行
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キーワード: 傍裂孔ヘルニア, 胃軸捻
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1527-1531

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抄録

症例は76歳,女性.転倒による腰部打撲にて当院整形外科受診し,胸部レントゲン写真にて右胸腔内に異常ガス像を指摘され当科紹介となった.上部消化管造影検査,造影CT検査で食道裂孔ヘルニアに合併する胃軸捻と診断し,開腹手術にてヘルニア修復術施行した.手術所見では,臓器軸性に捻転した胃体部がヘルニア内へ陥入していたため用手的に還納すると,食道裂孔右側にヘルニア門を認めた.食道裂孔とヘルニア門の間に脆弱な右横隔膜脚の介在を認めた.ヘルニア門は約5cmと大きく,介在する横隔膜組織が脆弱であったため,パリテックスTMバイアタルメッシュ3Dにて修復を行った.術後経過は良好で現在まで再発症状は認めていない.傍裂孔ヘルニアはまれな疾患であり,右側発症の症例は本邦では1例のみと極めてまれである.今回,われわれは胃軸捻を伴う右横隔膜傍裂孔ヘルニアの1例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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