抄録
BRCA遺伝子診断を実施した41家系67例の家族性乳癌および血縁者を対象に,病的変異の有無と家族歴について検討した.また,乳癌50例を対象に遺伝子変異の有無別に臨床病理学的検討を行った.病的変異を検出したのは,発端者診断では41家系中11家系26.8%で,BRCA1は4家系,BRCA2は6家系,BRCA1とBRCA2の両者の変異は1家系であった.濃厚な家族歴を有する乳癌患者での検出率が高かった.変異の有無別での臨床病理学的検討では,発症年齢・両側乳癌の頻度・組織型・術式での乳房切除(全摘)の頻度では差はなく,変異あり群では組織学的リンパ節転移陽性率が高く内分泌反応陽性率が低く,トリプルネガティブ率が高く組織学的悪性度が高かった.BRCA遺伝子診断は,遺伝性乳癌の診断や,乳癌および卵巣癌の一次予防,術式や薬物治療選択の判断に有用である.