日本臨床外科学会雑誌
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症例
神経線維腫症1型に多房性褐色細胞腫(径22cm)と十二指腸GISTを併存した1例
若林 俊樹佐藤 勤大内 慎一郎小棚木 均
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2622-2627

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抄録

症例は神経線維症1型(以下NF-1)の55歳,女性.健診で肝腫瘍を発見され当院に紹介された.腹部CT検査で,横隔膜・腎臓を圧排し,肝との境界が不明瞭な22×20cmの多房性嚢胞性腫瘍を認めた.また,十二指腸に直径3cmの多血性腫瘍を認めた.上部消化管内視鏡検査で,十二指腸第2部前壁に粘膜下腫瘍を認め,GISTと診断され,CT上での多血性腫瘍と部位は一致していた.CT上,十二指腸と嚢胞性腫瘍の位置関係から,嚢胞性腫瘍は後腹膜腫瘍であることが示唆された.術前に確定診断はできなかったが性状の違いからGISTの肝転移は否定的であった.手術所見で,後腹膜腫瘍は肝右葉に広範に癒着しており,肝後区域切除を併施した.十二指腸GISTに対しては十二指腸部分切除術を行った.病理学的に後腹膜腫瘍は褐色細胞腫と診断された.NF-1に褐色細胞腫とGISTを合併した報告は少なく,文献的考察を加え報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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