日本臨床外科学会雑誌
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症例
DNA ploidy patternが診断に有用であった胆管癌と膵頭部癌による衝突癌の1例
伊藤 隆介三澤 健之柳沢 春華柴 浩明池上 雅博矢永 勝彦
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2015 年 76 巻 1 号 p. 117-123

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抄録

衝突腫瘍とは二つの悪性新生物が同時期に境界をもって相接する状態であり,膵頭部領域の衝突腫瘍は極めて稀である.症例は60歳台,男性.前医にて膵頭部腫瘤を指摘され紹介となった.CT/MRIでは原発性膵癌が,ERCP/EUSでは下部胆管癌が最も疑われ膵頭十二指腸切除を施行したが,術前検査では両者の鑑別は困難であった.腫瘍割面はくびれたひょうたん型であり衝突癌が疑われた.組織学的には全体に腺癌を認め,くびれ部分で細胞移行像を認めた.各種免疫組織染色では胆管部と膵頭部で相同性があり二つの腫瘍に区別できなかった.DNA ploidy patternは胆管部はaneuploid pattern,膵頭部はdiploid patternであり両者に差異を認め,下部胆管癌と膵頭部癌の衝突癌と診断した.今回われわれは術前画像,術後病理検査共に診断に難渋した胆管癌と膵頭部癌の衝突癌の1切除例を経験したので報告する.

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