日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後1年6カ月目に鼠径ヘルニア嚢転移をきたした盲腸癌の1例
藤井 智徳村上 雅彦渡辺 誠大塚 耕司青木 武士加藤 貴史
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2015 年 76 巻 1 号 p. 85-89

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抄録
67歳,女性.2011年盲腸癌に伴う腸重積に対して腹腔鏡補助下回盲部切除を施行.腹水,腹膜播種,遠隔転移は認めず,病理診断は中分化腺癌,se,med,n2,ly2,v0,INFa,Stage IIIbであった.術後補助化学療法としてmFOLFOX6を計12クール施行した.その後,明らかな再発は認めなかったが,1年6カ月後に右鼠径部腫瘤を主訴に来院し,鼠径部のリンパ節転移を疑い腫瘤摘出術を施行した.手術では鼠径管内の3cm大の腫瘤を切除した.腫瘤は鼠径管後壁から膨隆するII型ヘルニアの形態であり,病理組織学的検索では腹膜に浸潤する中分化腺癌であった.免疫組織学的検索ではCK7陰性,CK20陽性,CEA陽性,cdx2陽性,D2-40陰性であり,ヘルニア嚢内に浸潤増殖をきたした盲腸癌の腹膜転移と最終診断した.術後15カ月が経過する現在まで再発なく外来通院中である.
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