日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発巣切除6年後に孤立性に肺転移した後腹膜平滑筋肉腫の1例
市原 智史長阪 智山道 尭横手 芙美内田 嚴喜納 五月
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2674-2678

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抄録

後腹膜平滑筋肉腫はまれな軟部腫瘍で,切除後比較的早期に再発をきたす.今回,切除6年後に出現した後腹膜平滑筋肉腫肺転移の1例を経験した.症例は76歳,女性.当科紹介の7年前に径4.5cmの右後腹膜平滑筋肉腫に対して切除術を受け,経過観察されていた.術後6年目の胸部CTで右肺下葉に径4mmの結節影が出現し,増大し当科紹介となった.他に異常陰影は認めず,診断治療目的で外科的切除の方針とした.胸腔鏡下右肺部分切除術により径8mmの腫瘍を含む下葉一部を切除した.病理組織検査で,多形性平滑筋組織の増生を認め,免疫染色α-SMA・desminともに陽性で,後腹膜平滑筋肉腫肺転移と診断した.術後6カ月間新たな再発なく経過中である.後腹膜平滑筋肉腫の長期無再発期間を経てからの肺転移はまれである.平滑筋肉腫の臨床像は多様で新たな再発の可能性もあり,厳重な経過観察が必要である.

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© 2015 日本臨床外科学会
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