日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳癌手術と破損インプラント抜去術を施行した豊胸術後乳癌の1例
松本 綾希子澤泉 雅之蒔田 益次郎岩瀬 拓士
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2015 年 76 巻 2 号 p. 254-258

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抄録

58歳,女性.約25年前に豊胸目的でシリコン乳房インプラント(silicone breast implant;SBI)を大胸筋下に挿入されていた.今回,左乳房腫瘤を自覚し,精査にて左乳癌(cT2N0M0,Stage IIA)と診断された.術前の乳房超音波,MRIにてSBIの劣化所見を認めたため,Bt+SNと同時にSBIを摘出し一次二期再建目的に組織拡張期を挿入した.SBIはシリコンジェルの漏出(bleeding)が著明で周囲組織にもジェルが付着していたが,破損・感染・異物肉芽腫形成などの所見は認めなかった.SBIは経年劣化が必発であるが,豊胸術後は医療機関でフォローされていないことが多い.また,乳房再建においてSBI使用が保険収載され,外来でSBI挿入患者を診る機会が増加する.SBI挿入術の既往のある患者を診た場合,適切な画像検査を行い,異常所見を認めた場合は摘出などを含め形成外科医に紹介することが望ましい.

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© 2015 日本臨床外科学会
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