日本臨床外科学会雑誌
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症例
食道裂孔ヘルニア門に陥入した成人急性胃軸捻の1例
平田 健久我 貴之岡 一斉尼崎 陽太郎国居 由香濱野 公一
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2015 年 76 巻 2 号 p. 274-278

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抄録
食道裂孔ヘルニア門に陥入した成人急性胃軸捻の1例を経験したので報告する.症例は82歳,女性.約1週間前から嘔気・嘔吐を生じたため近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で急性胃軸捻と診断され,当院に入院した.経鼻胃管や胃内視鏡による保存的治療で改善せず,全身状態が増悪したため準緊急手術を施行した.食道裂孔へ間膜軸性胃軸捻転を伴った胃,横行結腸,大網が嵌頓していた.食道裂孔を切開しヘルニア内容臓器を還納した.胃は前庭部と体下部で食道裂孔の圧迫で虚血性変化をきたしており,幽門側胃切除術(Billroth I法再建)を行った.ヘルニア嚢を切除しヘルニア門を直接縫合閉鎖した.術後34日目に軽快退院した.現在,再発なく経過している.胃軸捻転症は胃が生理的範囲を超えて回転した状態で,成人例で手術適応となる症例は比較的稀だが,本症例では食道裂孔ヘルニア門に陥入し準緊急手術となった.
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