日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
右側肝円索を伴う肝門部胆管癌の1例
進藤 潤一福井 雄大橋本 雅司
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 2 号 p. 374-381

詳細
抄録
症例は81歳,男性.右肝管に主座を置く肝門部胆管癌の診断で紹介された.術前のCT画像で明らかな脈管異常は指摘されず,予測残肝容積も47%で十分と考えられたため,門脈塞栓術は行わずに切除に臨んだが,開腹所見で右側肝円索症例であることが判明した.予定残肝の一部をドレナージする胆管枝が右肝管の腫瘍浸潤部に合流しており,同分枝の合併切除が不可避と考えられたが,当該領域を完全に切除すると予測残肝容積35%となり,ICG15分値10%台の肝予備能では過剰切除と考えられた.そこで,同胆管枝は腫瘍に近い中枢側を切除し末梢側を犠牲にする方針とし,肝実質をなるべく温存するような拡大右肝切除術(右側肝円索の区域解剖に従うと拡大右外側領域切除術)を行った.複雑な胆道癌の症例においては予期せぬ術中判断を要する場合があり,術前に脈管の3次元解剖を詳細に検討しておくことが重要と考えられた.
著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top