日本臨床外科学会雑誌
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症例
特発性後腹膜乳糜漏の1例
白井 順也羽鳥 慎祐米山 克也笠原 彰夫山本 裕司益田 宗孝
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キーワード: 後腹膜, 乳糜漏
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2015 年 76 巻 3 号 p. 613-616

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抄録
症例は66歳,女性.2日前より突然腰痛を自覚し当院外来を受診した.発熱,腹痛は認めず腰部全体の鈍痛を認めた.白血球22,900/μl,CRP 35mg/dlと炎症反応の著明な上昇を認め,腹部単純CT検査では第3~5腰椎,大動脈左側の後腹膜腔に径8cm大の内部均一な低吸収域を認め,エコー所見では内部均一な低エコー域であった.後腹膜膿瘍を疑い,同日緊急開腹ドレナージを施行した.腹部正中で開腹し,後腹膜腔の液体貯留部を穿刺し計350mlの乳白色液体を排液した.持続吸引式ドレーンを後腹膜腔の液体貯留部へ留置した.液体は,無臭でTG 1,129mg/dlと高値であったため乳糜漏と診断した.術後2日目から脂肪制限食を開始し,ドレーンは術後9日で抜去し術後12日で退院となった.特に原因となる手術歴や外傷を認めないことから特発性後腹膜乳糜漏と診断した.今回,極めて稀な症例を経験したため文献的考察を加え報告する.
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© 2015 日本臨床外科学会
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