2015 年 76 巻 5 号 p. 1160-1163
症例は88歳の男性.上腹部痛と黄疸を主訴に当院を受診.腹部造影CT検査で胆嚢壁内のガス像,胆嚢腫大と,それに起因すると考えられる門脈左枝の血栓・ガス像を認めた.感染巣除去のため緊急胆嚢摘出術を施行した.抗凝固療法として術直後よりヘパリンの全身投与を行い,術後1日目より経口摂取開始と同時にワーファリン内服投与した.その後,門脈内の血栓・ガスは残存するも臨床症状は変化なく経過した.術後3日目より,ドレーンより黄白色の排液を認めた.腹水中トリグリセリドは上昇しており,乳糜腹水と診断.脂肪制限食にて軽快し退院となった.