日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢癌肉腫の1例
唐橋 強吉水 信就関 みな子櫻井 孝志中島 顕一郎細田 洋一郎清水 健緒方 衝
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キーワード: 胆嚢, 癌肉腫, 化学療法
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2015 年 76 巻 5 号 p. 1169-1175

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抄録
症例は64歳,男性.主訴は右季肋部腫瘤,吐血.他院で胆嚢癌と診断され,精査待機中に大量に吐血し救急搬送された.腹部CT検査にて胆嚢に不均一な造影効果を示す100mm大の充実性腫瘤を認め,肝S6,結腸肝弯曲,十二指腸(吐血の原因)に浸潤する胆嚢癌(T4N0M0.Stage IVa)と診断した.輸血による貧血の改善後,結腸部分切除と肝S6切除を伴う膵頭十二指腸切除術(HPD)を施行した.病理組織検査結果で胆嚢原発の紡錘細胞癌(いわゆる癌肉腫)と診断された.
胆嚢癌肉腫(特にいわゆる癌肉腫)は通常の胆嚢腺癌と比較し予後不良で術後も早期再発が多いとされ,有効な標準化学療法も存在しない.術後S-1の補助化学療法を施行したが,6カ月後に肝転移を認めた.Gemcitabine+cisplatin療法(G-C療法)を施行した結果,肝転移は縮小,術後17カ月担癌生存中である.
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© 2015 日本臨床外科学会
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