日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下核出術を施行した膵鈎部インスリノーマの1例
坂元 克考本田 五郎倉田 昌直小林 信奥田 雄紀浩本庄 真彦
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2015 年 76 巻 5 号 p. 1187-1191

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抄録

患者は50歳の女性.意識消失発作を起こして救急搬送され,著明な低血糖(血糖値23mg/dl)を認めた.CTとMRI検査で上腸間膜静脈背側の膵鈎部に1cm大の多血性腫瘤を認め,選択的動脈内刺激薬注入試験(SASI test)を行ったところ,腫瘍の栄養動脈である前上膵十二指腸動脈からの刺激時のみインスリン値が高値を呈した.インスリノーマと診断し,主膵管との最短距離が約5mmであったため腹腔鏡下腫瘤核出術を施行した.核出は主にバイポーラ鑷子を用いて行った.術後経過良好で15日目に退院した.柔らかい膵実質の中にある腫瘤は腹腔鏡手術でも触覚により辺縁を認識しながら核出することが可能であった.

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© 2015 日本臨床外科学会
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