抄録
症例は59歳の男性で,1カ月間持続する発熱を主訴に前医を受診し,心エコーで高度大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁の疣贅を認めた.血液培養でstreptococcus sp.が検出され,歯周炎が原因の感染性心内膜炎と診断された.歯科治療と抗菌薬投与で炎症反応は改善傾向であったが,第16病日に腹痛が出現後にショックとなり,CTで上腸間膜動脈瘤破裂と診断された.動脈塞栓術で止血したが,腸管虚血が疑われ,人工弁置換術に際し感染巣の除去が望ましいと判断し,瘤切除と小腸部分切除術を施行した.血腫により肉眼的な瘤同定は困難であったが,塞栓物質を触知し,瘤を同定できた.術後92日目に開心術を施行した.破裂症例では,動脈塞栓術で循環動態が安定し,切除の際に瘤の同定が容易となる一方,臓器虚血の併発や手技困難例もあり,症例ごとに治療法を選択する必要があると考えられた.