日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人発症の肝未分化肉腫の1例
太田 浩志福田 三郎田澤 宏文先本 秀人江藤 高陽西田 俊博
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キーワード: 肝未分化肉腫, 成人
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2015 年 76 巻 8 号 p. 2001-2007

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抄録

症例は39歳,男性.心窩部の腫瘤と痛みを主訴に当院を受診.腹部エコーとCTで肝外側区に充実性腫瘤を認めた.血液検査では軽度の炎症反応の上昇を認めたが肝機能は正常で,肝炎ウィルスマーカーも陰性,腫瘍マーカーも正常であった.腹部CTとMRIでは乏血性肝腫瘤として認めた.痛みを伴っており,腫瘍破裂の危険を考慮し,左肝切除を施行.病理結果では,紡錘形の細胞が充実性に増殖しており,免疫染色はVimentinが陽性であったが,CK・hepatocyte・CK7などの上皮マーカーは陰性であり,S100・smooth muscle actin(SMA)・CD34・CD68・desminも陰性であり,未分化肉腫と診断した,術後1年6カ月現在,無再発生存中である.本症は小児に発生する稀な悪性間葉系腫瘍であり,成人例は非常に稀である.今回,39歳で発症した肝未分化肉腫を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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