日本臨床外科学会雑誌
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症例
外科治療を行った門脈走行異常による胆管狭窄の1例
升田 貴仁竹内 男篠田 公生古川 勝規代市 拓也宮崎 勝
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2015 年 76 巻 8 号 p. 2013-2020

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抄録

症例は72歳,男性.上腹部痛にて前医を受診し胆管炎と診断され,胆管狭窄の精査目的に当院消化器内科紹介受診.造影CTで門脈系に異常を認めた.SMVとSPVは通常走行で膵の背側で合流し,その後,膵上縁を回り込んで膵頭前面を尾側に進み,胆管が膵内に入り込む部で全周性に胆管を取り巻き圧迫していた.肝外門脈走行異常による胆管圧迫狭窄と診断され,胆管ステントが留置された.永続的な胆管ステントの留置・交換が必要となるため,手術目的に当科紹介となった.胆管空腸吻合術および胆嚢摘出術を施行した.術後3年経過した現在も,胆管炎を発症することなく外来経過観察中である.
異常門脈が膵上縁で胆管を全周性に取り巻き圧迫して胆管狭窄から胆管炎を発症し,永続的な胆管ステント交換が必要とされた症例であったが,外科的治療の介入により患者のQOLを向上させることができた.

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