2015 年 76 巻 8 号 p. 2047-2051
症例は77歳,女性.慢性腎不全で維持透析中の患者であった.約1カ月前から体調不良があり,前医で抗菌薬が投与されていた.その後,発熱と腹部膨満を認めたために当院紹介となった.来院時,腹部全体に圧痛および腹膜刺激症状を認め,血液検査では炎症反応の上昇を認めた.腹部造影CTでは,腹腔内遊離ガス像,腹水貯留,および子宮内避妊具(IUD)を認めた.汎発性腹膜炎の状態であり,子宮内にガス像を認めたことからIUDによる子宮穿孔を考慮し,緊急手術を施行した.子宮底部に穿孔を認め,子宮全摘,ならびに人工肛門造設術を施行した.IUD長期留置による子宮穿孔から,汎発性腹膜炎を併発した症例を経験したので報告する.