日本臨床外科学会雑誌
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症例
腸重積で発症した成人消化管重複症の1例
栗原 唯生岸本 裕佐野 貴之浅沼 晃三市川 辰夫
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キーワード: 消化管重複症, 腸重積, 成人
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2016 年 77 巻 10 号 p. 2499-2503

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抄録

症例は16歳の男性で,突然の激しい腹痛のため当院に救急搬送された.腹部CTで上行結腸内に重積した小腸を認め,回腸-結腸型腸重積症と診断した.ガストロ注腸による非観血的整復を試みたが困難であったため,緊急手術を施行した.Hutchinson法で重積を解除したところ,回盲弁から口側30cm付近の回腸に憩室様に突出する構造物を認めた.腸重積の原因と考えられたため同部を含めて小腸部分切除を行った.切除標本では小腸腸間膜側壁内に,粘膜を有する孤立した嚢胞性腫瘤を認めた.腫瘤は組織学的に正常小腸粘膜と固有筋層を有しており,小腸重複症と診断された.
消化管重複症は小児の器質的疾患を有する腸重積症の主な原因の一つであるが,成人での報告は少ない.当院で経験した回腸重複腸管による腸重積症の1成人例を報告するとともに,成人の消化管重複症と腸重積症の本邦報告例の検討を行った.

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© 2016 日本臨床外科学会
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