日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術後に急激な経過で死亡したAeromonas hydrophilaの1例
牧田 直樹高井 優輝山崎 圭介鎌田 徹神野 正博
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キーワード: Aeromonas, 敗血症, 術後
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2016 年 77 巻 10 号 p. 2525-2530

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抄録

症例は73歳,男性.心窩部痛と腹痛を主訴に受診し,胆石性胆嚢炎の診断にて当科へ紹介された.総合的に判断し入院のうえ待機手術とした.手術は定型通り腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.術後69時間目よりドレーン挿入部周囲の発赤を認め,発赤は急激に臍周囲から右側腰背部にまで拡大した.術後72時間目にプレショック状態となり腹部CT検査を行うと,発赤部位に一致して皮下軟部組織濃度上昇と液体貯留を認めた.出血や感染を念頭に抗生剤投与や呼吸・循環管理等の治療を施すも,敗血症に合併したDICへと重症化し術後4日目に死亡した.発赤部皮下の滲出液培養検査からは後日Aeromonas hydrophilaが検出された.本菌により軟部組織感染を発症すると,重篤な経過を辿り致死率が高いことが報告されている.腹腔鏡下胆嚢摘出術後に急激な経過を辿ったAeromonas hydrophila感染の1例を経験したので報告する.

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