2016 年 77 巻 4 号 p. 955-960
症例は72歳,男性.2013年3月に近医での腹部超音波検査にて膵上縁のリンパ節腫大を指摘され,精査加療目的に当院を紹介受診した.腹部CTで胆嚢底部に25mm大の充実性腫瘤を認め,またNo.8aリンパ節腫大も認めた.胆嚢癌の診断にて胆管切除を伴う肝S4a+S5切除,リンパ節郭清,胆道再建術を施行した.病理組織学的検査にて,中分化型腺癌を伴う神経内分泌癌と最終診断された.術前よりCA19-9の上昇を認めたこと,また領域外リンパ節に腺癌成分の転移を認めたことより,術後補助化学療法として通常型胆嚢癌に対して考慮されるS-1療法を開始したが,9カ月後のCTで15mm大の腹部リンパ節再発を2箇所に認めた.CA19-9の再上昇を認めたことより腺癌成分の再発と考え,gemcitabine+cisplatin療法に変更したところ,腹部リンパ節は消失した.術後2年以上経過した現在も新たな転移や再発は認めていない.