抄録
胃切除後にはしばしば胃切除後障害が出現し,患者の日常生活に支障をきたすことが臨床的な問題となる.患者は“癌が治ること”とともに“術前と同様の日常生活が送れること”も強く望んでいるが,後者については十分な対応がなされていないのが現状である.多くの外科医は手術や化学療法など“癌を治す”治療に追われており,胃切除後障害に十分な時間を割いて対応するのは難しい状況にある.そこで,胃切除後障害を効率よく拾い上げ対応するためのツールの開発や管理栄養士などの医療スタッフと連携したチーム医療の構築が求められる.多様な臨床像を呈する胃切除後障害を的確に診断・治療することはときに難しく,今までは個々の外科医の経験に基づいて診療されることが多かったが,今後は体系的に診断・治療が行われるようにするための方策が必要である.胃切除後障害の診療は(1)予防,(2)検出-評価-対応,(3)検査-診断-治療に分けられるが,とりわけ初期対応を充実させることが患者の望む“術前と同様な日常生活が送れること”につながり,QOLの向上に寄与すると考える.