日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
男性乳腺原発腺様嚢胞癌の1例
藤澤 憲良西江 優子
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 6 号 p. 1336-1340

詳細
抄録

乳腺原発腺様嚢胞癌(adenoid cystic carcinoma)は特殊型に分類される稀な乳癌で,発生頻度は全乳癌の0.1%以下とされている.男性発生例はさらに稀であるが,今回われわれは,男性の乳腺原発腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例は36歳の男性,左乳頭部の有痛性腫瘤を自覚し受診となった.乳腺超音波検査で左乳頭直下に径24mm大の血流亢進を伴う腫瘤を認めた.左乳腺炎症性腫瘤の画像診断であったが,疼痛が強いため切除生検を施行したところ,腺様嚢胞癌と診断された.全身検索ののち,定型的に左乳腺全切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.最終病期診断はpT2(24mm)pN0M0 stage IIAで,ER(-),PgR(-),HER2(-)のトリプルネガティブ乳癌であった.術後は特に補助療法を施行せず経過観察したが,18カ月までの間に再発は認めなかった.

著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top