日本臨床外科学会雑誌
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症例
炭酸ガス送気下に胸腔鏡下摘出術を行った縦隔内異所性副甲状腺腺腫の1例
真栄城 兼誉小野 亮子赤嶺 健吏新里 千明高宮城 陽栄宮国 孝男
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1347-1352

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抄録

症例は40歳台の女性.検診で高Ca血症を指摘され経過観察されていたが,血清Ca値およびintactPTH (以下,iPTH)の上昇を認めたため当院へ紹介された.胸部CTで前縦隔に2.5cm大の腫瘤影を認め,99mTc-MIBI副甲状腺シンチグラム検査で腫瘤に一致してRI異常集積像を認め縦隔内異所性副甲状腺腫と診断され,胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行した.左半側臥位,3portで手術を施行し,胸腔内に炭酸ガスを送気して視野確保し手術を開始した.腫瘍は前縦隔上行大動脈基部上縁に存在しており,小指頭大で周囲胸腺に埋没し胸腺の一部と合併切除した.病理組織診断は副甲状腺腺腫であった.術後経過は良好で,術後1日目の血清Ca値8.7mg/dl,iPTH 36pg/mlと速やかに低下した.その後,再燃兆候なく外来経過観察中である.炭酸ガス送気下に胸腔鏡下縦隔異所性副甲状腺腺腫摘出術を施行した1例を経験したので報告する.

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