抄録
症例は77歳,女性.下痢と嘔吐を主訴に当院を受診した.血液生化学検査で低蛋白血症を認めた.消化管精査では,空腸に不整な潰瘍が多発していた.蛋白漏出シンチで同部からの蛋白漏出を認めた.蛋白漏出胃腸症を呈する空腸多発潰瘍症と診断し,保存的治療抵抗性であったため,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.切除標本肉眼像では空腸14cmに多数の潰瘍を認めた.病理的所見では絨毛の短縮および上皮内リンパ球浸潤を認め,免疫組織学的染色ではCD3/8強陽性,CD4/20陰性にてself-limited coeliac disease-like enteropathyであった.術後5年経過したが低蛋白血症は認めていない.今回,self-limited coeliac disease-like enteropathyの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.