日本臨床外科学会雑誌
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症例
二期分割手術により切除・再建した胃切除後ハイリスク食道癌の2例
松山 純子森田 勝上江洌 一平山本 学池部 正彦藤 也寸志
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キーワード: 食道癌, 胃切除後, 二期手術
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2016 年 77 巻 8 号 p. 1970-1974

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抄録

胃切除後の食道癌症例では,再建臓器の癒着等の問題があり,手術は複雑で難渋する.われわれは,ハイリスク食道癌に対し積極的に二期手術を導入している.今回,胃切除後症例の中でも特にリスクの高い2例に対し,二期手術を導入することにより安全に切除・再建しえたので報告する.症例1:同時性下咽頭癌合併例に対し,一期目に咽喉頭食道全摘後,間置遊離空腸移植し遠位端を外瘻化(このことで唾液の管理が容易となり,二期目に血管吻合を行う必要がない).二期目に右側結腸を挙上した.症例2:膵頭十二指腸切除後,心機能低下等のある高齢者に対し二期手術を行った.いずれの症例も術後合併症の発生は認めなかった.二期手術はハイリスク食道癌症例に対する手術適応の拡大に繋がると考えられた.

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© 2016 日本臨床外科学会
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