日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢捻転の5例
水戸 正人田中 亮小柳 英人畠山 悟田中 典生
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キーワード: 胆嚢捻転
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2016 年 77 巻 8 号 p. 2043-2047

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抄録

胆嚢捻転の臨床的特徴を明らかにするため,2006年1月より2015年5月までに当院で手術を施行した胆嚢捻転5例を後ろ向きに検討した.男性1例・女性4例で,年齢中央値は85歳(83~92歳)だった.2例はCTで術前診断が可能で,3例は経皮的胆嚢ドレナージが行われたのちに血性胆汁排液を認めたため手術の方針となった.経皮経肝的胆嚢ドレナージは遊離腹腔を介して挿入された2例を含んでいたが,術中所見で腹腔内への胆汁漏出は認めなかった.CT所見では,全例で結石嵌頓を伴わない胆嚢腫大と単純CTにおける胆嚢粘膜の高濃度化を認めた.胆嚢管の偏位を3例で認め,胆嚢管の捻じれによる頸部の高吸収腫瘤像は1例で認めた.4例に開腹胆摘を,1例に腹腔鏡下胆嚢摘出術が施行された.胆嚢捻転の診断にはCT画像診断が有用である.また,胆嚢ドレナージによる胆汁性状も有力な所見であり,診断の一助となる.

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