抄録
症例は63歳,女性.アルコール性肝炎および慢性膵炎にて当院で経過観察中に吐血を認めたため来院した.上部消化管内視鏡検査で出血源を確認できなかったため,腹部CT検査を施行したところ脾仮性動脈瘤を認めた.慢性膵炎の増悪から脾仮性動脈瘤を形成し,それが膵管に穿破し吐血したと診断した.全身状態は安定していたため血管造影を行い,仮性動脈瘤内にコイルを留置し塞栓した.経過は良好で,7日目の腹部CTで仮性瘤の消失を確認した.しかし,コイル塞栓術の2カ月後に再度吐血したため,CT検査を施行したところコイル塞栓部位より末梢側の脾動脈に再度仮性瘤を形成していた.保存的治療では改善しないため,手術的治療として膵尾脾切除術を行った.術後は問題なく現在まで再発なく経過している.今回われわれは,慢性膵炎の増悪による繰り返す脾仮性動脈瘤からの膵管出血の1例を経験したので報告する.