2017 年 78 巻 12 号 p. 2698-2702
症例は26歳の女性で,2年前にS状結腸軸捻の診断で下部消化管内視鏡的整復術を受けていた.急激な腹痛および腹部膨満を主訴に当科を受診した.腹部単純X線検査で著明に拡張した結腸を認め,S状結腸軸捻を疑い,緊急で下部消化管内視鏡を用いて整復した.後日,注腸造影検査を施行したところ,横行結腸から下行結腸にかけた腸管が著明に拡張していたが,S状結腸の拡張は認めなかった.横行結腸・下行結腸の軸捻の診断で待機的に腹腔鏡手術を施行した.術中所見では横行結腸の過長と下行結腸の固定異常を認め,横行結腸中央部から下行結腸まで約55cm切除し機能的端々吻合をした.
若年者の腸軸捻では腸回転異常症に起因するものが多く,盲腸・回腸の報告がほとんどである.今回われわれは,腸回転異常のない固定異常による左半結腸軸捻の1例を経験したので報告する.