2017 年 78 巻 2 号 p. 388-392
良性転移性平滑筋腫(benign metastasizing leiomyoma:BML)は,組織学的に良性の子宮筋腫が多臓器に転移を起こす稀な疾患である.今回われわれは,腹腔内に発生したBMLを腹腔鏡下に切除した1例を経験したので報告する.症例は47歳,閉経前女性.7年前に子宮筋腫にて子宮全摘の既往あり.検診のPET-CT検査にて腹腔内腫瘍を発見され,腹腔鏡下に腫瘍を摘出したところBMLと診断された.組織学的に,以前摘出した子宮筋腫の検体と同一の組織学的所見を認め,核の異型や分裂所見は明らかではなかった.免疫染色は,estrogen receptorとprogesterone receptorが陽性であった.後療法は施行せず,術後42カ月現在,再発所見なく経過している.子宮筋腫の既往を有する患者に非特異的腫瘤を認めた際には本疾患を鑑別の一つに考慮すべきである.