日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
12歳女児右乳房線維腺腫(径13cm)の1例
佐藤 礼子金子 真美北原 智美吉野 裕司
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 4 号 p. 648-653

詳細
抄録

症例は12歳,女児.2年前より右乳房の腫大を自覚していたが,次第に乳房の左右差が著明になったため近医を受診し,針生検で線維腺腫と診断された.乳房超音波検査で右乳房全体を占める巨大腫瘤を認め,一部辺縁が分葉状に嚢胞形成している箇所もあり,画像上は葉状腫瘍の可能性も否定できなかった.整容性を考慮し,右乳房下溝縁切開で腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は正常乳腺を圧排するように発育しており血流豊富であった.可及的に正常乳腺を温存するように腫瘍を摘出した.摘出した腫瘍は最大径13cmで,病理組織学的には腺管成分と間質成分の増殖がみられ,悪性を示唆する異形はなく,線維腺腫と診断された.若年者の巨大線維腺腫は積極的に手術を行い,手術の際には,整容性への配慮とともに可能な限り正常乳腺を温存することが重要と考えられた.今後は,整容性と乳腺機能に関しての長期的な評価が必要である.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top