日本臨床外科学会雑誌
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症例
豊胸術後の反復する乳腺炎後に発見された乳腺血管肉腫の1例
碇 絢菜田中 覚新田 敏勝堀内 哲也
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キーワード: 豊胸術, 血管肉腫, 乳腺
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2017 年 78 巻 4 号 p. 654-659

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抄録

70歳,女性.50歳時にsilicone gel bagを用いた両側豊胸術を受けた.2012年5月に左胸部違和感,掻痒感を自覚し,当院皮膚科より紹介となった.左乳房は全体的に発赤を認めたが,乳腺超音波検査では乳房内に明らかな腫瘤は認めなかった.乳腺炎の診断で抗菌薬投与を行い軽快するも,同様の症状を繰り返した.2013年10月に肝腫瘤の経過観察目的での腹部MRI検査で,偶然左乳頭近傍に腫瘤を指摘された.乳腺造影MRI検査でも乳頭に接して腫瘤影を認めた.腫瘍の一部を切開生検したところ,血管肉腫を疑うものの確定診断には至らず,左silicone gel bag除去を含めた乳房切除を施行した.病理組織診断は,low gradeの乳腺血管肉腫であった.現在,再発なく経過観察中である.乳腺血管肉腫は比較的稀な疾患であり,予後不良とされる.今回,稀な経過で発見された乳腺血管肉腫を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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