日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後硬膜外カテーテル抜去時に生じた硬膜外血腫の1例
久保 維彦山田 大作江口 英利藤野 裕士森 正樹土岐 祐一郎
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2017 年 78 巻 4 号 p. 859-863

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抄録

症例は74歳,女性.膵頭部IPMNに対し,硬膜外麻酔併用全身麻酔下に膵頭十二指腸切除術を施行.術前に止血・凝固能異常は認めず,抗凝固・抗血小板剤も使用なし.麻酔時,硬膜外カテーテルは問題なく挿入留置された.創痛の治まった術後7日目に硬膜外カテーテルを抜去,直後から強い背部痛を認め,30分後にはTh6以下領域の感覚脱失を伴う対麻痺をきたした.画像検査にてTh6-10に脊髄の圧迫を伴う硬膜外血腫を認め,緊急の椎弓切除術を施行.手術所見ではTh6-10相当部分に硬膜外血腫を認め,血腫を除去したが明らかな出血源は認めず.術後,背部痛は消失し,感覚脱失はTh11まで改善し坐位保持は可能となったが,対麻痺は残存しておりリハビリを継続している.止血・凝固能異常などのリスクがない患者に,硬膜外カテーテル抜去時の急性硬膜外血腫という,重篤かつ予想困難な合併症を経験したので報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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