日本臨床外科学会雑誌
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症例
左卵巣転移を契機に発見された低異型度虫垂粘液性腫瘍の1例
小林 大悟石原 博雅出口 智宙柴田 有宏高瀬 恒信矢口 豊久
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2017 年 78 巻 9 号 p. 2087-2092

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抄録

症例は47歳,女性.左下腹部痛,腹部膨満感を認め近医を受診した.下腹部に手拳大の腫瘤性病変を触知した.腹部超音波検査にて左卵巣に13×7.5cm大の多房性腫瘍を認め,精査加療目的に当院産婦人科へ紹介受診した.CT・MRIを施行すると,左卵巣腫瘍から離れた位置に,虫垂と連続する嚢胞性病変を認め当科へ受診され,合同手術を予定した.術中迅速病理検査にて左卵巣腫瘍・虫垂腫瘍はともに腺腫と診断され,左付属器摘出術・虫垂切除術を施行した.術後病理標本より,虫垂腫瘍は低異型度虫垂粘液性腺腫(low-grade appendiceal mucinous neoplasm:以下LAMN)と診断され,左卵巣腫瘍はLAMNの転移と診断された.左卵巣転移を契機に発見されたLAMNの本邦報告例は認めない.今回,左卵巣転移を契機に発見されたLAMNの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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