日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
綜説
分子標的薬導入により変わる甲状腺癌治療の現状と課題
杉谷 巌
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 79 巻 1 号 p. 1-11

詳細
抄録
根治切除不能な甲状腺癌を適応とするmulti-kinase inhibitor(MKI)が登場し,国際第3相試験によってprogression-free survival(PFS)の有意な延長が示された.しかし,現時点でも甲状腺癌に対する第一選択の治療法が外科的根治切除であることに変わりはない.分化癌に対しては放射性ヨウ素(radioactive iodine: RAI)不応であることがMKI使用の前提となるため,高リスク癌には早い段階で甲状腺全摘・RAI治療が行われる必要がある.これらの標準治療に抵抗性でかつ進行が明らかな症例に対してのみMKIが考慮され,術前・術後補助療法としての適応はない.特有の有害事象に対してチーム医療下での管理により,治療を長く継続することがPFS延長につながる.重大な有害事象として創傷治癒遅延や頸動脈などからの生命に関わる大出血事例が報告されている.
著者関連情報
© 2018 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top