抄録
症例は59歳,男性.16歳時に低ガンマグロブリン型の免疫不全症と診断,27歳時に1型糖尿病と診断されていた.53歳時に主膵管拡張と膵頭部の嚢胞性病変を指摘され,精査にてworrisome featureを伴わない膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断.54歳時にhigh-risk stigmataを伴ったため,手術適応となった.1型糖尿病で膵インスリン分泌能は失っていること,また先天性免疫不全症であることを考慮し,脾温存膵全摘術を行った.切除標本の病理診断は膵管内乳頭粘液性腺癌(TS2(33mm),pTisN0)であった.術後管理としては,免疫グロブリン製剤を適宜補充し,予防的抗生剤を長期間投与したが,その他は通常通りに管理し,特記すべき合併症なく退院した.先天性免疫不全症に合併した膵管内乳頭粘液性腺癌に対して全膵切除を行った症例は検索し得る限りではなく,非常に稀な症例と思われたため,報告する.